MV / OSHI. ORIGINAL
BLUEGOATS「BABY BABY」カバーMVに注目。ライブの入口だった一曲が、4人の作品になるまで
ライブで繰り返し出会ってきた曲を、自分たちの声で作品にする。BLUEGOATSが9月14日、銀杏BOYZ/GOING STEADYの「BABY BABY」をカバーしたMVを公開した。音作りには175RのISAKICK、映像には加藤マニが参加。横浜アリーナでのオープニングアクト出演、10月のZepp Shinjukuワンマンへ向かう時期に届いた一作を、選曲の背景と制作陣から読み解く。
OSHI.編集部 · 2026/9/18
更新日:

BLUEGOATS「BABY BABY」公式YouTubeより · 画像の出典 ↗
入場SEだった曲を、4人の歌へ
今回のカバーを考えるうえで外せないのが、「BABY BABY」とBLUEGOATSのライブとの関係だ。公開時の紹介では、以前から入場SEとして使われ、ファンが一緒に歌う曲として親しまれてきたことが説明されている。単に知られた楽曲を新しく選んだというより、現場ですでに接点を持っていた一曲を、自分たちの歌唱で残す企画だ。 入場SEは、メンバーがステージに現れる前後の空気をつくるもの。その曲を何度も同じ場所で聴けば、音が鳴っただけでライブの始まりを思い出す人もいる。カバーMVは、そうした現場の記憶を、会場へ行ったことがない人にも届く形へ置き直す役割を持つ。 もちろん、原曲を知っている人と、BLUEGOATSから初めて曲に触れる人では受け取り方が違う。だからこそ、原曲への思いを推測で代弁するより、誰が、どんな制作陣と、どの時期にこの曲を作品にしたのかを押さえると見通しがよくなる。
ISAKICKと加藤マニ、音と映像を担う二人
サウンドをプロデュースしたのは、175RのISAKICK。公式YouTubeもこの参加を明記している。MVの監督・撮影は加藤マニで、ヘアメイクやカラーリストなどを含む制作クレジットも公開された。演者の4人に加えて、音と映像をつくる人の組み合わせが見える作品だ。 MVの紹介では、城やクジラ、滑り台の形をした大型のエア遊具を使い、膨らんでいく過程と空気が抜ける過程を取り入れた演出が説明されている。大きく形を変える背景の中にメンバーが立つことで、人物だけを固定した画面とは違う動きが生まれる仕掛けだ。 この造形を、ライブの高揚と重ねて読むこともできる。人が集まり、音が鳴っている間だけ生まれる時間は、終演とともに形を変える。それでも一度そこにいた記憶は残る。これは編集部の解釈だが、ライブの始まりに使われてきた曲と、一時的に膨らむセットを組み合わせた点には、作品をもう一度考えたくなる面白さがある。
「あなたと私でBLUEGOATS」という活動の軸
BLUEGOATSは2021年11月結成。公式YouTubeは「あなたと私でBLUEGOATS」をコンセプトに掲げ、愛称を「アオヤギ」と紹介している。メンバーはほんま・かいな、ダイナマイト・マリン、チャンチー、ソンソナの4人だ。 グループ名だけでは音楽の方向がつかみにくい人にも、今回の選曲とISAKICKの参加は入口になる。青春パンクと紹介される活動の中で、すでに会場で共有されていた曲をカバーすることは、演者だけで完結しないコンセプトとも重ねて考えられる。聴き手が知っている記憶ごと、作品へ持ち込めるからだ。 ただし、観客が全員同じ曲を知っていることを前提にしなくていい。MVから入った人は、この曲を通じてグループを知ればいいし、ライブから入った人は以前の記憶と比べられる。一つの作品に複数の入口があることが、カバーの強みになる。
Xでは公開告知が約15万表示。数字の先にある接点
9月18日の確認時点で、9月14日の公式MV公開投稿は約15万表示、244リポスト、322いいねとなっていた。これは投稿の閲覧・反応の数であり、MVの再生数や視聴者の人数そのものではない。それでも、公式の一つの告知がどの程度届いているかを見る材料になる。 今回の話題には、BLUEGOATSのファン、原曲を知る人、ISAKICKや加藤マニの仕事に関心を持つ人という異なる接点がある。数字だけで「大ブーム」と言い切るより、その複数の入口を持つ作品が公開されたことに注目したい。アイドルの新作として知った人がバンドの曲へ戻り、原曲から来た人が4人の活動を知る。カバーならではの往復が生まれる組み合わせだ。 映像を紹介する際も、原曲の知名度だけに寄りかからず、ライブとの関係や今回の制作陣まで伝えると、BLUEGOATSがいまこの曲を出した意味が見えやすくなる。
横浜アリーナのOAと、Zepp Shinjukuのワンマンは別の挑戦
直近では、グランプリ獲得を経て9月20日の「AGESTOCK2026 in 横浜アリーナ」へオープニングアクトとして出演することが発表された。そして10月5日には、Zepp Shinjukuでワンマン「DAWN -BAND SET-」を予定している。横浜アリーナの公演は単独ライブではない。この二つを分けて理解すると、現在地がより正確に見える。 大きなイベントの入口で初めての観客に出会う日と、自分たちを目当てに集まる人へバンドセットを届ける日。求められる見せ方は同じとは限らない。MVは、その二つの前に誰でも触れられる作品として公開された。会場へ行く前に4人の声と姿を知る人も、出演後に名前を検索してたどり着く人もいるだろう。 「DAWN」は18時開場・19時開演。9月18日の公式案内には一般B席1,000円と別途ドリンク代が示されている。まず新作を知り、そこからバンドセットのワンマンへ進める時期だ。かつてライブの始まりを知らせていた「BABY BABY」が、いまは新しい聴き手にBLUEGOATSを知らせる一曲になっている。