チケット / OSHI. ORIGINAL
チケット不正転売禁止法の基礎|何が違法で何が合法か、特定興行入場券の3要件と公式リセールの使い方
ライブのチケットを定価より高く売ると法律違反になる場合があります。2019年6月14日に施行されたチケット不正転売禁止法(特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律)は、事業者だけでなく個人も対象で、違反すると1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはその両方が科されます。この記事では、どのチケットが対象なのか、何が禁止されているのか、行けなくなったときにどうすればいいのかを整理します。
OSHI.編集部 · 2026/10/23
更新日:

OSHI.制作(生成カード) · 画像の出典 ↗
2019年6月14日に施行された法律
正式名称は「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」。通称としてチケット不正転売禁止法と呼ばれます。施行は2019年6月14日です。 それまでも、各都道府県の迷惑防止条例によって会場周辺での「ダフ屋行為」は規制されていました。しかしインターネット上の転売には適用が難しく、オンラインでの高額転売が事実上野放しになっていた。この法律は、その穴を埋めるために作られたものです。 所管は文化庁で、概要と関連資料は文化庁の公式サイトに掲載されています。
対象になるのは「特定興行入場券」だけ
重要なのは、すべてのチケットが対象になるわけではないという点です。法律が対象とするのは「特定興行入場券」で、次の3つの要件をいずれも満たすものに限られます。 第一に、興行主の同意がない有償譲渡を禁じる旨が、券面(電子チケットの場合は映像面)に明示されていること。第二に、興行の日時・場所、入場資格者または座席が指定されていること。第三に、販売時に入場資格者または購入者の氏名と連絡先を確認する措置がとられ、その旨が券面などに記載されていること。 つまり「転売禁止」と書かれているだけでは足りず、日時・場所・座席の指定と、購入者の本人確認まで揃って初めて対象になります。
「不正転売」の定義は3つの条件の組み合わせ
禁止される「不正転売」は、次の条件がすべて揃ったものを指します。興行主の事前の同意を得ずに、繰り返し継続して行う意思を持って、元の販売価格より高い価格で転売すること。 ここで押さえたいのが「繰り返し継続して行う意思」という部分です。一度きりの譲渡がただちにこの法律の違反になるわけではありません。ただし、同じ公演の複数枚を分けて売る、複数の公演で繰り返す、といった行為は「反復継続の意思」があると判断されうる領域に入ります。 また、禁止されているのは転売行為そのものだけではありません。不正転売を目的としてチケットを譲り受ける行為も、同じく禁止されています。買う側も対象だということです。
罰則は懲役または罰金、個人も対象
違反した場合の罰則は、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはその両方です。 この法律は事業者だけを対象にしたものではなく、個人も対象に含まれます。「転売屋ではないから関係ない」という整理は成り立ちません。 なお、この法律の違反に当たらない場合でも、興行主が定める規約に違反していれば、チケットの無効化や入場の拒否といった措置を受けることがあります。法律と、主催者のルールは別の話です。
行けなくなったときにどうするか
では、都合がつかなくなったチケットをどうすればいいのか。答えは公式リセールです。 興行主自身、または興行主の同意を得ている正規のリセールサイトが用意されている場合は、そちらを利用します。定価で売買でき、公演が中止・延期になった場合には払い戻しなどの補償を受けられます。 近年のドーム公演やアリーナ公演では、主催者が「公式トレードサイト」を用意するケースが増えています。アイドルの大型公演でも、チケットの案内に公式トレードの実施が明記されることが一般的になってきました。公演情報を見るときは、この公式リセールの有無を最初に確認しておくと、後で困りません。
「公式サイトを装う」転売仲介サイトに注意
注意が必要なのが、公式サイトを装う転売仲介サイトの存在です。 検索結果の上位に表示される、デザインが公式に似ている、出演者の写真が使われている——こうした要素は、そのサイトが正規であることを何も保証しません。アーティストの宣材写真が無断で使われているケースもあります。 2026年10月には、=LOVEが2027年1月の東京ドーム公演について、許諾していないウェブサイトでチケット販売をうたう事例を確認したとして注意喚起を行いました。そこでは、サイトで使われているメンバーの肖像・写真についても使用を許諾していないことが明示されています。写真が載っているから公式、という判断は通用しません。
購入前に確認する4点
実務的には、次の4点を確認すれば大きな失敗は避けられます。 第一に、チケット情報は出演者の公式サイトと公式SNSから辿る。検索結果を起点にしない。第二に、そのサイトが主催者の案内する正規窓口の一覧に載っているかを確認する。第三に、販売時期が公式の告知と一致しているか。まだ先行販売しか始まっていない時期に「一般販売中」と書かれていれば、その時点で疑う。第四に、支払い方法が銀行振込や電子マネー送金のみに限定されていないか。 価格が定価を大きく上回っている場合、それを買う行為自体が「不正転売を目的とした譲受け」に該当する可能性もあります。
ルールの前提が変わったことを理解しておく
この法律が意味するのは、チケットが「買った人の持ち物」から「指定された人だけが使える権利」に変わったということです。 本人確認付き・座席指定のチケットは、誰かに譲る前提で設計されていません。行けなくなる可能性があるなら、申し込みの段階で公式リセールの有無を確認しておく必要があります。 友人の分をまとめて取る、という行為も、公演によっては同行者登録が必要です。チケットを取る前に規約を読む——この一手間が、結果的にいちばん確実な自衛になります。詳細は文化庁の公式ページと、各公演の主催者が公開している注意事項を確認してください。